映像の雑学「綺麗な映像」とは何か?

映像・動画制作

Youtubeやニコニコ動画などのインターネット動画が充実した現在、個人での映像制作がとても身近なものになりました。

スマホ1台あれば撮影、編集、公開までできてしまうなんて、映画、テレビを飛び越して、人類みな映像クリエーター時代です。

そんな気軽に映像を扱える時代になったからこそ、普段我々が目にしている映像を少しだけいつもと違ったミカタで見てみるのも面白いものです。

ここではほんの少しだけ、知ったら明日からの映像ライフが面白くなるようなコラムをご紹介します。

テレビ販売コーナーから探る 綺麗な映像とは?

綺麗な映像と言うとみなさんどのようなものを思い浮かべるでしょうか?

大自然の風景、都会の夜景、はたまたイケメン俳優、セクシー女優などなど・・・確かにどれも普通に見たら「キレイな映像」かもしれません。

しかし先にあげたそれらはあくまで映像の「被写体」「対象」なのであって「映像そのものでは無い」のです。では「映像そのもの」とは何か、それはカメラなどで記録され、モニターなどに表示された「光の情報」になります。

大自然の風景も都会の夜景も人物もそれぞれに当てられた「光」、「太陽光」や「照明」によって我々の目に映し出されているわけです。

では映像における「キレイ」とはどんなものなのでしょう。

「キレイ」なんて人それぞれ、言ってしまえばそんなものなのですが、一般的な「キレイ」の基準を探すには、一般的なものを対象としているところを見るのがわかりやすいです。

それは「家電量販店のテレビコーナー」です。

みなさんお住まいの地域の家電量販店、電気屋さんには必ずといっていいほどテレビモニター販売のコーナーがあり、多くのテレビが展示販売されていることと思います。

現在一般的なテレビモニターは大きく分けて3種類です。

・フルHDモニター
・4Kモニター(FHD)
・有機ELモニター(4K/HD)

これらそれぞれ一体何が違うのかと言うと、ざっくり「表示できる光の情報量の多さ」と「色の鮮やかさ、表現方式」になります。

・有機EL(4K/HD)に関してはフルハイビジョン(HD)4K(FHD)と混在して語れないので

「表示できる光の情報量の多さ」に関しては
・フルHDモニター
・4Kモニターを例に、

「色の鮮やかさ、表現方式」に関しては
・有機ELモニター(4K/FHD)でそれぞれご紹介します。

フルHDと4K 映像の違い

まず、話題のテレビ規格、フルHDと4Kををざっくりご紹介します。大きさで言うと4Kモニター > フルHDモニターということになります。

数字で見ていただければおわかりの通り4Kモニターのほうが表示できる光の情報量が多いため、一般的に「フルHDモニターよりもキレイ」と言えることができます。

フルHDモニター

【解像度】
(画面縦横で表示できる光の点の数)
横1,920 縦1,080

【画素数】
(画面全体で表示できる光の点の数)
約200万画素

5Kモニター

【解像度】
(画面縦横で表示できる光の点の数)
横3,840 縦2,160

【画素数】
(画面全体で表示できる光の点の数)
約800万画素

モニターサイズは大きいほど良い!? 大は小を兼ねない不都合な真実

4Kモニターは一般的に「フルHDモニターよりもキレイ」と言いましたが、ここで不都合な真実を一つご紹介します。

現在地上波で一般的に放送されているテレビ番組、いわゆる「地デジ放送」はほとんど「フルHD以下の解像度」なのです。

放送番組よりテレビモニターのほうが表示できる情報量が多いのは放送技術整備より先に視聴技術のほうが整ってしまったということになります。(ここらへんは色んな業界の色んな事情があるということで・・・)

では4Kモニターでは地デジは汚く写ってしまうのか?
 
これは一概には言えません、なぜなら昨今出回っているテレビモニターの多くは「テレビモニター自体」が「映像を補正して表示する機能」を備えているからです。

足りない情報量をデジタル補完したり、色をより濃く表示させたりとメーカーによって様々です。

なので、4Kモニターで地デジ放送を表示しても「汚く」感じることは少ないかと思います。しかし、4Kモニターで地デジ放送を表示しても「よりキレイになる」というこは、実感しにくいのです。

また見た目の違いで大きく現れやすいのが「テレビモニターそのものの大きさ」によるものです。

先ほど、解像度(画面縦横で表示できる光の点の数)と画素数(画面全体で表示できる光の点の数)をつかって情報量の多さを説明しましたが、「テレビモニターそのものの大きさ」とは、それら「光の情報が収まっている入れ物の大きさ」「枠の大きさ」とも言えます。

「テレビモニターそのものの大きさ」はよく「~型」とか「~インチ」と表現され「50インチモニター」とか「50型」とか言われます。

ちなみに「インチ」と「型」は同じ意味で扱われています。なので、「50インチモニター」=「50型」です。

これはフルHDモニターでも4Kモニターでもある型式で、

フルHDの「50インチ(50型)モニター」
4Kの「50インチ(50型)モニター」

という感じにそれぞれ枠の大きさは同じだけど中身(フルHDか4K)で違いがでてきます。

テレビモニターの中身と大きさ

ここでおさらいです。

映像を表示するテレビモニターは

【解像度】
(画面縦横で表示できる光の点の数)

【画素数】
(画面全体で表示できる光の点の数)

これらが多いということは「全体の光の情報量」が多いため、一般的に鮮明でキレイだと感じられる。

逆に言えば、「表示する元の映像」(カメラで記録された情報や放送の情報量)がテレビモニターより少ない情報量だとキレイだとは感じにくい。

ここまではテレビモニターの中身、情報量のお話です。ではその中身を入れる箱のお話をします。

「テレビモニターそのものの大きさ」を「お風呂の大きさ」に例えましょう。

「全体の光の情報量」は「湯船のお湯」に、お風呂の大きさは「大きれば」それだけ快適に入浴する際の「お湯の量」が必要になってきます。

テレビ放送の場合、使える「お湯の量」(光の情報量)が予め決まっているため、家庭用のお風呂にはちょうどいいお湯の量なのですが、大きな銭湯や温水プールでは湯船につかる快適度は難しくなります。

つまりいくら「お風呂の大きさが」大きくても「お湯の量」が「適量」でなければ、快適な入浴ができるとは限らないのです。

大きなお風呂に少ないお湯か、一般的なお風呂にちょうどいいお湯、どちらの見栄えが良いのか、どちらに入りたいか、ご想像頂ければと思います。

テレビの展示販売コーナーで、同じ番組を放送していても「大きなテレビではタレントのさんの輪郭が少しボケて見える」とか(元々のサイズ以上に引き伸ばしていいる、情報量を無理やり増やそうとしているから)、4Kテレビモニターなのに大きなサイズと小さなサイズで見え方が違う(大きなサイズでは映像のノイズや色ムラが目立つ)などと感じられた方も多いのでは無いでしょうか?

そこには「情報量」(お湯の量)と「適正表示サイズ」(お風呂の大きさ)の関係があったのです。

「綺麗な映像」と一口に言っても、それは多くの要素が合わさって成立するものです。

では次に有機EL(4K/HD)テレビモニターを例に「色の鮮やかさ、表現方式」についてのご紹介をしましょう。

(第一部完)